東京更生保護女性連盟
第一ブロック研修会






 開催日時      平成26年9月25日(木曜日)
                         午後1:30~3:30


講演          乙武 洋匡 氏 東京都教育委員会委員
ミニコンサート    マリンバ演奏   吉川 雅夫 氏
ところ         宿区区立戸塚地域センター  7階ホール


主催          東京都更生保護女性連盟   第一ブロック




講師紹介

 
1976年東京都生まれ、大学在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーに。
 卒業後はスポーツライターとして活躍、その後、新宿区教育委員会・非常勤講師。

 
2013年に東京都教育委員に就任、教員時代の経験その他を基に数々の執筆を
している。
 地域密着を目指すゴミ拾いNPO「グリーンバード新宿」を立ち上げ、代表に就任。
 2児の父親である。



講演概要


 乙武氏は現在、二人の息子さんに恵まれて幸せに暮らしておられます。
 ご長男は穏やかで優しい子、ご次男は積極的で向こう見ずと紹介され、家庭で
は1歳半ばからお父さんの髭剃りが日課とか。
 息子さんが髭剃りを持ち、その髭剃りに合わせて乙武氏が顔を動かす、という、
あくまで微笑ましい描写に家庭の温かさを痛感しました。
 両手の無いお父さんの腕をつくづく見て、秋になったら手はどうなるの?
 と、お花でも生えて来るような会話を乙武氏が存分に楽しんでおる様子。


 2010年から3年間を小学校教員として教育者として過ごされました。
 四肢の無い乙武先生に、子ども達は恐る恐る近づき、話しかけ、反応を観たり匂
いを感じ取ったりと、乙武氏を「未知との遭遇」よろしく、子どもらしい好奇心のなか
で、ずい分助けられたそうです。
 物を持つことも出来ず、動くことも思い通りにならない学校の先生を、純粋に助け
てくれたそうした生徒たちに大きな感謝をされました。
 しかし、学校側から「生徒に助けられる様な弱点を、生徒に見せないで欲しい」、
との指示があり、人と人との繋がり、思いやりを育む、人を助ける、といった心情の
在り方を根本から否定されたそうです。
 4月は学年開始の時期で大変多忙に時が経ち、窓から見えた桜の木の下の学級
会で気分転換を図ったところ、学年内クラス間に変化を持ち込まないでほしい、すべ
て横一線の足並みを揃える様、学校からの意向で桜の下の学級会も無くなった由。
 現在の我が国の教育は、左右を見ながら足並みと個性を揃えるのが学校と教師
の仕事、と非常に残念に思われたそうです。


 子供は一人一人が個性的に生きている、どうか、その子らしさを否定せず、子ども
の存在解釈のストライクゾーンをより広くすることで、子ども達が否定されること無く
育ち、社会に対する感謝と責任がもてるようになることを祈ります。
 子どもは全員同一ではなく、皆と同じ行動のとれない子供たちがいることを認識し
て欲しい。
 わがまま・勝手を重ねているわけではなく、皆と合わせられないもどかしさを無力と
感じ、自分の表現方法も分からない子は、「困った子」ではなく、「本人も本当に困っ
ている子」なのです。
 同一行動と同一内容の価値ばかりが優位として処理される現代社会ですが、そう
した子ども一人一人に丁寧に沿うことが改めて強く求められています。
 例えば性の概念も多様化され、どのような性の在り方も受け入れられる方向に改
善されたのではないでしょうか。


 様々な症状を克服する意味で、授業でアイパッドを使用し、黒板内容を画像化して
勉強に役立てることは、他の子が欲しがるという理由で否定されました。
 視力の悪い子の眼鏡使用が許されるのであれば、アイパッド利用の主旨をクラス
に説明する義務もあるのではないか。
 一人一人の子どもを大切に思えば、当然の説明責任と思われます。
 どうか、家庭では、一人一人の子ども達にゆっくりと寄り添っていただきたい。そし
て社会の在り方を広げ、認識を深くし、どの様な内容も幅広く受け入れられる「人との関係つくり」を構築したいと思います。
 社会から排除されることがなければ、温かい居場所で大切に愛され、人は犯罪か
ら完全に解放されます。
 広く受け入れられ、人として豊かで温かな対応の中で成長することで初めて、社会
を大切に思い、人として生きる楽しさと責任能力が育まれると思います。
 




















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